新光丸事件(日本における外事事件の歴史7)【調査会NEWS3429】(R03.4.28)

【調査会NEWS3429】(R03.4.28) ※このメールには返信しないで下さい。お問い合わせ等は代表荒木のアドレスkumoha551●mac.com(●を半角の@に変える)までお願いします。 ―――――――――――――――――――――― <新光丸事件(日本における外事事件の歴史7)>
特定失踪者問題調査会特別調査班
 この事件については当時の報道記事が収集出来ていないため、東京法令出版の『戦後の外事事件』と当時の『週刊読売』の記事を基に概要を書いてみたいと思います。
 まず『戦後の外事事件』では他の事件と違い「参考」扱いで概要が述べられている事件で、昭和28(1953)年9月頃、香港経由で横浜港から密入国した工作員・松田博こと全基永(当時30歳、他では金と記載もある)が、すでに日本国内で活動していた工作組織の通信技師として、工作組織が収集した政治、経済、防衛等に関する情報を暗号化して北朝鮮本国に無線(無電)で報告をしていたもので、密入国から4年後の昭和32(1957)年12月28日、北朝鮮本国からの帰還命令を受け、無線機や暗号文書を携行して京都府与謝郡伊根町の伊根港から工作船・「新光丸」で密出国しようとしたところを海上保安庁によって検挙されたものとなっています。
 取調べから、新光丸は検挙される2日前に5人の工作員を密入国させていたことが判明したとされています。しかし、全基永が4年もの間、どこに潜伏し、どのような組織の中で通信技師として活動していたのか、関係者は誰なのか、検挙される2日前に密入国した5人は誰で、何処へ消えたのか等、明らかにされていないため全容が掴みにくい事件となっています。
 一方、週刊読売に掲載された「北鮮スパイに偽装日本船 女性もおどる“西の出入口”伊根港(京都)」と題した伊根港を舞台とした工作員の潜入事件の記事中に、この「新光丸事件」についても紹介されています。その部分では冒頭に「当局では詳細な事件経過を捜査上の理由からひた隠しにしているが、昭和32年11月25日にも、これと同じような事件が起こっている。」としたうえで、新光丸乗組員側からの視点で事件を説明しています。
 概要は、北朝鮮(社会)安全省の直属機関「東海貿易商事遮湖出張所(咸鏡南道)の工作キャップ・李文善から命令「伊根港の波止場に近い八坂神社境内で25日から28日の間、毎日正午に“ハンマーを持った男”が待っている。この男を乗せて帰れ」というを受け、工作船・新光丸(17.94トン)の船長・田京太、機関長・朴春雄ら5名が乗組み、伊根港へ潜入し、指定された日にちの最後、28日になって機関長の朴春雄がようやく上陸に成功して八坂神社に行き、正午きっかりに「ハンマーを持った男」と接触し、新光丸に連れ帰ったそうですが、八坂神社での接触時、男は27、8歳の大柄な美人と一緒で、泣きながら別れを惜しむ一方「では…私も直ぐ後から…」と言っていたといいます。
 新光丸は地元の漁協から不審がられて海上保安庁に通報されていて、巡視船「あき」が港口で新光丸の出航を待ち構えていたそうで、巡視船に気付いた新光丸は巡視船を振り切ろうとしますが、巡視船の速力には勝てず検挙されてしまいます。海上保安官たちが新光丸に乗り込んでみると、船室内には精巧な短波無電機が装備された無線室があったそうで、乗り込んだ男を追及すると、北朝鮮内務省系の無電連絡工作員であることを認め、金基永(30歳、当時横浜市横浜会館内)と名乗り、「任務完了のため交代帰国するところだった」旨を自供したといいます。
 自供の内容から金基永は昭和29(1954)年暮れに特務をおびて日本へ潜入し、東京都港区芝琴平町2、小倉ビル内、経済調査協会などに出入りしながら米軍及び自衛隊の施設、動向を調べ上げ、数百通の情報を無電で北朝鮮内務省に報告していたということで、日本での工作キャップとして神奈川県鎌倉市大町名越1789の養鶏業・柳沢多吉(44歳、朝鮮人)がいたことも判明しましたが、柳沢は検挙寸前に姿を消していたとのこと。
 また、八坂神社で一緒にいた女性については「柳沢の娘で内堀佳子(27)といい、私の内妻だ。諜報工作とは何の関係もない」と言い張っていたそうですが、金基永を八坂神社まで迎えに行った機関長・朴は「八坂神社で金に暗号で呼び掛けた際、彼女の方が解読が早かった」と言っていたようですから、「内堀佳子」なる女性も工作員とみられているようで、姿を消した「柳沢多吉」と一緒に指名手配されたそうです。
 以上が『戦後の外事事件』と『週刊読売』の記事から得た新光丸事件の内容ですが、週刊読売記事の冒頭にあるように「当局」が事件の経過をひた隠しにする理由や、戦後の外事事件で書かれている「2日前に5人の工作員を潜入させていた」という部分も週刊読売では記述されておらず、不明な点が多い事件です。
 もともとこの週刊読売の記事は新光丸事件の後に起きたと思われる「吉福丸事件」を主に扱った内容ですが、この「吉福丸」は事件のおよそ1年前に日本で廃船となったものを北朝鮮側が何らかの手段で入手し、工作船として使用したものです。「新光丸」も「吉福丸」も海上保安庁の巡視船によって捕獲されていますから、北朝鮮側が海上保安庁の巡視船から逃れるために工作船の“高速化”を進める一因となった事件かもしれません。
先日、調査会でライブ中継した場所も神奈川県が出ていましたが、今回紹介しました「新光丸事件も」密出入国の場所が京都府の伊根港だけで、工作員の活動地域はまたも「神奈川県」というキーワードが出てきました。また、工作員のキャップが鎌倉市内で「養鶏業」を営んでいたというのもちょっと驚きで、卵や鶏肉を扱う人物がまさか工作員のキャップとは普通見破れないでしょう。
 昭和46(1971)年12月30日、宮崎県曽於郡から宮崎市内に向かった園田一・敏子さん夫妻も「養鶏業」に就かれていました。事件の年代も違い、場所も神奈川と宮崎では離れすぎているとも思いますが、「養鶏業」という言葉で頭に浮かぶのは園田ご夫妻の失踪事件です。
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