幻のスパイ団事件(日本における外事事件の歴史4【調査会NEWS3405】(R03.3.2)

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調査会特別調査班
 戦後、国内で摘発された北朝鮮系スパイ事件は、内容の大小はともかく新聞などで報道され、多くの書物などでも紹介されており、現代でも当時の状況を知ることが出来ますが、中には当時「スパイ事件」として報道されながら歴史の陰に埋もれてしまった事件もありました。
 その一つが昭和31(1956)年に摘発された「第3鎮海丸事件」です。
 この事件は大阪の貿易会社が活動拠点となって北朝鮮との密貿易などを行っていたグループが摘発されたというものですが、グループの中には北朝鮮の特務機関員が財務担当者として活動し、多額の米ドルを国内で日本円に換金して物資の買い付けなどを行う一方、第3次朝鮮スパイ事件で逮捕された2名の男としばしば密会していたことが当局に把握され、またグループ内には密入国してきた人物もいるとのことで、大阪府警、警視庁、海上保安庁が一体となって摘発したものです。
 当時、新聞報道は摘発直前から「北鮮スパイ団」「密輸船」「全国30カ所を一斉捜索」などの文言を付けて報道していましたが、摘発後には海上保安庁第6管区海上保安本部(広島)が「関税保違反容疑」などで一斉摘発を行った旨の報道だけで終わっています。 
 この事件については後追い記事を捜しましたが発見できず、戦後のスパイ事件を紹介した新聞記事でも「物資の輸送、スパイの秘密連絡」という紹介だけで終わっていますから多分後追い記事はないのでしょう。 以下、当時の報道記事を基に事件の概要を紹介してみたいと思います。
 昭和31(1956)年4月12日午後2時半、海上保安庁の巡視船が広島県の斉島東方海上で、表向きは韓国向けの輸出としながら実際には北朝鮮に物資を運ぶ第3鎮海丸を摘発しました。また第3鎮海丸の摘発に合わせ、東京、大阪、神戸などで警視庁や大阪府警によって一斉摘発が行われ貿易会社の社長などが逮捕されました。
 事の発端は、警視庁、大阪府警、海上保安庁がそれぞれの情報に基づいて個別に捜査を行っていたことで、警視庁公安3課では前年(昭和30年)に摘発した「第3次朝鮮スパイ事件」の逮捕者2名が自称Mという男としばしば秘密裏に会合をもっていたことで内偵を進めていたこと。大阪府警は昭和29(1954)年または30(1955)年ごろからA貿易会社などの動向に注目して内偵していました。
 また海上保安庁は、昭和30(1955)年秋ごろから第3鎮海丸など100トン前後の船数隻が、韓国との合法貿易を装って盛んにロープ、機械、薬品類を積んで神戸、下関港を出港、しばらくして同じ船が今度はスクラップなどを持ち帰っていることが判明したため、不審を抱き、内偵を進めていたところでした。
 大阪府警では内偵を進める中で警視庁や海上保安庁もそれぞれに内偵中であることが判り、情報の共有を図ったところ、A貿易会社を中心として水面下で北朝鮮と密貿易をしているグループがあること、そのグループ内には日本の経済事情などの調査や政治工作、民間の漁業者に対する働きかけをしていたふしもあること、また北朝鮮からの密入国者2,3名が含まれている模様であること、グループの財政担当は東京中野区に居住する自称Mで、前年に第3次朝鮮スパイ事件で逮捕された中心人物・韓裁徳の後継として送り込まれてきた模様であることなどが浮上しましたが、Mは10個以上の偽名を使い分けており、その素性は「北朝鮮の特務機関員」というだけで実名などは把握できずにいました。
 捜査の過程でこのグループは第3鎮海丸などを使い、韓国向け輸出品と称して、大工道具、ミルク、ラジオ、レーヨン、医薬品、船舶用具など1回に1千万円(現在の貨幣価値で2億円~2億5千万円)相当の品物を積んで神戸、尾道、新浜の税関で検査を受けていました。
 ところが同船の行動に不審を抱いた海上保安庁が秘かに監視を続けたところ、同船は韓国行きとは全くのデタラメで、北朝鮮の新浦、新昌などの港に入り、帰りには副蚕糸、非鉄金属、顔料、ウニ、スクラップなどを積んできており、第3鎮海丸は判明しただけでも日本と北朝鮮間を10回は往復しており、その内容は密貿易だけでなく日本に潜入するスパイも運んでいるものとみられていました。
 このような状況下で昭和31(1956)年4月11日夜に名目上、韓国・釜山に向けて第3鎮海丸が捜査対象者の大半が乗船した形で出港することを突き止め、警視庁、大阪府警、海上保安庁の3者で一斉摘発を行うことになり、第3鎮海丸については神戸港出港後、領海外に到達するのを待って海上保安庁が摘発し、それと同時に警視庁や大阪府警などで12日夕刻ら東京、大阪、神戸、広島、小倉、対馬など10数か所で一斉摘発(捜索)に入りました。この結果、船の乗組員も含め計12名が逮捕されましたが、肝心の中心人物Mは逮捕者の中に含まれませんでした。
 大阪のA貿易会社には12日の午後5時から捜索が入りましたが報道記事によれば同社の社長は逮捕したものの、捜査陣が会社に入った時には事務所内は「数個の机と椅子が並べられているだけで従業員の姿もほとんど見えなかった」となっており、スパイ事件摘発時にみられるような「無線機、乱数表を押収」などの記載は一切ありませんでした。一斉摘発から2日後の14日に発行された新聞記事には、「北鮮密輸団の全容発表」と題して海上保安庁が一連の事案を「関税法違反、私文書偽造、同行使容疑で福岡地検小倉支部に身柄とも送検する。」と発表した旨が掲載されたのみでした。
 摘発当日まで新聞の見出しは「北鮮スパイ団に手入れ」などと書かれていたにもかかわらずスパイ事件のスの字も見当たらなくなっています。何故でしょうか?スパイ事件など最初からなかったのでしょうか?
 これはあくまで推測でしかありませんが、スパイ事件はあったものの、その中心人物である自称Mに逃亡され、A貿易会社やその他の場所に入った捜索でも無線機や乱数表、暗号文書などの物証が押収できなかったのではないでしょうか。そのためにスパイ事件自体が幻となってしまった気がします。
 摘発当日の報道記事では警視庁の警備部第2部長名の話として「相当大がかりなり組織があると思う」とか「昨年検挙した韓載徳らの第3次北鮮スパイ団に代わるもので・・・」などの記述もありますから「スパイ事件はあった」と判断して間違いないと思います。
 では、何故中心人物に逃亡され、物的証拠も押収できなかったのでしょうか?考えられる理由としてはやはり事前に察知されたということでしょう。
 三つの治安機関が同時並行的に捜査・内偵していたわけですから、スパイグループが周囲の微妙な変化や兆候に気付いたのかもしれません。また、仮に事前に察知されていなくても、報道によればA貿易会社に警官隊が到着したのは午後6時です。摘発される前に犯人たちが夕刊を読めば証拠となる物を処分する時間的余裕はあったかもしれません。
 この「第3鎮海丸事件」では同船の他に5隻の船舶名が公表されています。一見韓国や中国との貿易船に見せかけて実態は北朝鮮との往来に使われていたとすれば、工作員だけでなく拉致被害者も乗せて北朝鮮に向かった可能性もあります。このように埋もれてしまっている事件も一つずつ解明していくことも必要と思われます。
(本件の報道資料は代表荒木のブログに掲載されています) araki.way-nifty.com/.preview/entry/d4cf422bc8ea27cac58a3cd92a5575af
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