【調査会NEWS3148】（R01.12.27）
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＜田中さんと金田さんの情報＞
荒木和博
共同通信の配信で各紙に「拉致被害者田中実さんら2人 生存情報 政府公表せず」という報道がされています。
2人というのは政府認定拉致被害者田中実さんと、特定失踪者金田龍光さんのことで、平成26年（2014）に政府が情報を受け取りながら公開しなかったというもの。同様の情報はこれまでも共同電で流れていましたが、この記事では政府が黙殺したことがかなりはっきりと書かれています。
平成26年というのは5月にストックホルム合意が成された年です。このとき北朝鮮は国内にいる全ての日本人について調べると合意しました。そして菅官房長官は第1回の報告の出る時期について、この年の「夏の終わりか秋の初め」と言っていました。
記事の中で、横田めぐみさんら政府認定拉致被害者についての情報は寄せられず、「政府高官は『驚きと無念さが交錯した』と振り返る」と書かれています。その文脈からすると田中さん・金田さんの情報はこの「夏の終わりか秋の初め」に届いた北朝鮮からの報告だったのではないでしょうか。ひょっとしたら2人だけではなく、他の特定失踪者の情報も入っていたのかもしれません。
状況証拠からする推測ですが、だいたい流れはこんなものだと思います。
平成26年5月のストックホルム合意の時点ではおそらく田中さん以外の認定被害者についても情報が出ることになっていたのではないか。しかし夏頃北朝鮮の内部で何かがあり方針が変わった。そして出してきた情報の中には他の認定被害者、もっとはっきり言えば横田めぐみ・有本恵子という「目玉商品」の情報がなかった。一方で日朝間にはこの報告で拉致問題を事実上棚上げするという合意があったため、これでは世論が納得しないと考えた政府が受け取らなかった。まあそんなところで大きな間違いはないと思います。要は「あってはならないことは、なかったことにする」ということでしょう。
記事には北朝鮮側からは「帰国の意思はない」と伝えられていたとされています。しかしこの点は平成14年（2002）に帰国した蓮池薫さんら5人も北朝鮮で聞かれれば監視の目をはばかって「帰国の意思はない」と答えたでしょう。本人たちに政府の関係者が会って、そして日本に連れ帰ってから意思確認をしない限り本心など分かるはずがありません。
救う会・家族会が主張している「拉致被害者の全員即時一括帰国」というのは北朝鮮に求める建前としては当然です。もちろん北朝鮮にはそうする義務があります。しかし現実にはそれは不可能であり、逆に建前のお陰で助けられる人を見捨てることになりかねません。今回のケースはまさにそれだと思います。
交渉中の情報を全て開示することができないのは分かります。しかし水面下の交渉も含め、被害者はともかくあらゆる方法を使って取り返せるところから取り返すべき、と考える次第です。それは決して不可能ではないのですから。
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北朝鮮船・遺体着岸漂流一覧（令和元年12月17日現在確認分）
http://araki.way-nifty.com/araki/2019/12/post-ce8a89.html
着岸漂流一覧と失踪関連地点マップ
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