昭和の時代【調査会NEWS4033】(R8.4.30)

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<昭和の時代>

 荒木和博

 昨日は「昭和の日」。私たちの世代にとっては「天皇誕生日」と言った方がピンとくるのですが、少なくとも昭和天皇が崩御された後の「みどりの日」よりはしっくりくる名称です。「みどりの日」を「昭和の日」にするにも多くの方々の努力があったのですが、昭和元年からちょうど1世紀を経た今年の昭和の日に、天皇皇后両陛下のご臨席のもと政府主催の「昭和百年記念式典」が開催されたことは一つの区切りとしても大きな意味があったと思います。

 さて、私が生まれたのは昭和31年(1956)、ちょうど昭和の真ん中のあたりになります。物心着いた頃に高度経済成長が始まり、まさに「未来は今より良くなる」と確信してきた世代でした。家の前の道は砂利道だったのが舗装され、家にテレビが入り、そのテレビが白黒からカラーになり、新幹線はどんどん伸びていく。物価も高くなるけれど給料も上がる。本当に良い時代だったと思います。

 そんな中で私が拉致問題を知ったのは昭和55年(1980)1月の「産経新聞」(当時は「サンケイ」)一面トップ、阿部雅美記者の「アベック拉致」に関する記事でした。その記事のことは今でも覚えているのですが、私は何もしませんでした。記事の後追いもほとんどありませんでした。

 どうして何もしなかったのだろうと今思い返すと、おそらくはあの「未来は今より良くなる」という高揚感の中で、そうではないものに目をやりたくないという気持ちしか考えられません。もちろん当時は今から想像もできないほど朝鮮総聯の力も強く、声を挙げれば何をされるか分からないという恐怖感もあったでしょう。

 しかし「産経新聞」の記事にあった「アベック拉致」の被害者は皆自分と同世代でした。同世代の青年たちが北朝鮮に拉致され苦しんでいた時に自分はそれを知っていたのにあえて何もしなかったという後ろめたさはおそらく死ぬまでついて回るでしょう。

 拉致自体は平成に入っても起きていますし、令和の今でも起きるかもしれません。しかしその多くが戦後の復興から高度成長の時代に起きていることを考えたとき、昭和の時代がそういう時代でもあったことは改めて認識しておく必要があると思います。自戒の念も込めて。

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